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武満、たてぶえ、どですかでん

武満徹は1930年の10月8日うまれですから、生きていれば、ことしの10月8日で80歳です。そこで今回は武満とリコーダーについて考察します。

武満徹 (たけみつとおる) と言えば、透明で厳しい現代音楽の作曲家として有名ですが、ビートルズ・ナンバーをギターに編曲したり、ポップス風の作品も残しています。

今回は分かり易い方の作品群から、リコーダーが使われている曲を紹介しましょう。1970年に公開された映画の音楽です。『どですかでん』です。

編曲と演奏は東京コンサーツという団体らしいです。室内オーケストラと言えば良いのでしょうか、バッハのブランデンブルグ協奏曲第2番を演奏する様な楽器の組み合わせで、チェンバロの代わりにクラシック・ギターや木琴、ハープ等が加わった編成です。曲はポップス風で、いくつかの楽器が交替で旋律を奏でます。その中にリコーダーの音色も入っており、ほのぼのとした情感をかもし出しています。リコーダーはアルトでしょうか。

曲調から家庭的な喜劇を想像する人も多いでしょう。映画『どですかでん』は確かに喜劇ですが、その背後には、高度成長期の日本社会に対する痛烈な風刺が隠されていると思います。この映画の監督は黒澤明です。

黒澤と言えば、娯楽性と芸術性を兼ね備えた時代劇などで世界に知られた映画監督です。そのクロサワ映画に音楽担当の責任者として武満の名前がクレジットされたのは、この『どですかでん』が最初です。(それより前の映画でも助手として協力していた可能性はありますが、責任者として名前が表に出たのは、この映画が最初だと思います。)

武満が音楽を担当した黒澤映画はこの後にも一つだけありますが、製作の過程で二人の意見の違いが決定的になってしまい、蜜月は終わりました*。黒澤と武満の両者が、それぞれ責任を持って納得の行く共同作業を実現できたのは、この『どですかでん』だけだと言って良いでしょう。

わたしが聴いたCDを紹介します。この商品に付いている解説によると、武満は93もの映画で音楽を担当したそうです。その中から、96年に死亡する前に何ヶ月もかけて武満自身が選んだ10曲を収めたのが、この『「自選」映画音楽集』(The Film Music of Toru Takemitsu) です。

武満徹《自選》映画音楽集武満徹《自選》映画音楽集 (The Film Music of Toru Takemitsu)
(1997/11/27)
『利休』 『ホゼ・トーレス』 『黒い雨』 『他人の顔』 『切腹』 『はなれ瞽女おりん』 『化石』 『愛の亡霊』 『どですかでん』 『砂の女』

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10曲のうち『ホゼ・トーレス』『黒い雨』『他人の顔』からの曲は「弦楽のための三つの映画音楽」(Three Film Scores for String Orchestra) として楽譜が出版され、このCDには、ジョン・アダムズ (John Adams) の指揮するロンドン・シンフォニエッタ (the London Sinfonietta) の演奏が収録されています。

それ以外の7曲は、『どですかでん』も含め、もともとの映画のために演奏・録音されたサウンドトラックです。

武満徹黒澤明の蜜月を、リコーダーの音色が彩ります。


*『乱』の製作過程で起きた黒澤と武満の対立については、
『愛・蔵太のもう少し調べて書きたい日記』
黒沢明(黒澤明)ケンカ伝説
という記事を参考にしました。

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┃ Tag:武満徹 どですかでん 黒澤明

┃ テーマ:リコーダー ━ ジャンル:音楽

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